筋膜調整の最大のポイントは生理学を理解することです。

単なる伸び縮みする構造物として捉えるだけでは、可動域や姿勢の変化は見込めるかもしれませんが十分ではありません。

筋膜の生理学を理解することは、筋膜調整の可能性を飛躍的に高めることになり、対応できないと思われていた症状やなかなか改善がみられなかった症状に対しても、自信をもって挑めるようになります。

 

感覚器としての役割

筋膜には神経支配があります。

筋膜や疎性結合組織によって包まれている神経には自由神経終末の他、ルフィニ小体やパチニ小体など固有受容性の神経も含んでいます。

よって、筋膜が伸ばされると神経や固有受容器は活性化され、生理学的限界を超えた伸張は痛みを発します。

また、固有受容性の神経の影響により、関節のおさまりが悪く感じたり、ぐらぐらする感じがするなど、不安定感を感じたりします。
したがって、筋膜を整えることで、ぐらついていた片足立ちがピタッと止まるようになったり、歩いている時のふらつきがなくなったりするのです。

※筋膜調整によって片足立ちができるようになった様子はこちらから

筋膜の変化は筋力低下や過剰な緊張も引き起こす

筋肉に力を入れるスイッチの役目となる筋紡錘。これはどこに有るのでしょうか?

筋を包んでいるのが筋外膜であり、より深層にあたる筋線維の束である筋束を包んでいるのが筋周膜です。この筋周膜の中に筋紡錘が存在しています。

よって、筋紡錘の発火は、筋紡錘を包む筋周膜、筋周膜と連結のある筋外膜の影響を受けることになります。

もし、筋外膜の動きが悪くなり、適切に筋紡錘が発火しないとどうなるでしょう。

おそら力を入れるスイッチが入らなくなるため、筋膜の動きが悪い筋肉は見かけ上の筋力低下を起こしてしまうでしょう。

加えて、同じ筋肉の中でも、活性化する筋紡錘とそうでない筋紡錘が出てきた場合、関節に対して歪んが牽引が加わります。そのため関節に対して捻じれの負荷が加わってしまい、関節周囲の関節包への過剰な伸張や関節自体の機能障害を招く可能性が出てくるのです。

また、腱膜筋膜を通して、離れたところもまで力を伝達できるのが筋膜の特徴でした。そのおかげで、少ない力で複雑な動きをいとも簡単に実施できているのです。

しかし、筋膜の動きが悪くなると、過剰な牽引が遠く離れたところまで伝達されてしまいます。

そのため、遠く離れた筋肉の筋紡錘が活性化してしまい、安静にしているときでも離れたところに力が入っていたり、単純な動きであっても、余分なところにまで変に力が入ってしまい、巧緻性が乏しくなってしまうといった現象が起きてしまうのです。